九州工業大学 大学院 工学府 物質工学専攻  マテリアル工学コース / 工学部 マテリアル工学科

ランダム構造材料学研究室

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界面張力の新測定法の開発

界面張力とは

 水と空気の間に表面張力が働くように、溶融金属と非金属固体(例えばセラミックス)の境界にも界面張力があります。簡単に言うと、界面に働いて、界面積を狭めようとする力のことです。金属とセラミックスの接合、溶融金属中の不純物の生成・分離など、材料を製造する上で様々な場面において重要な因子のひとつです。

従来の測定法

従来の測定法  セラミックスの上で金属を溶融させると右の図のようになります。この形をもとに3つの張力のバランスの式から界面張力を求めることができます。
 ところで、この式からわかるように溶融金属の表面張力、セラミックスの表面張力、それに接触角が必要です。は比較的高精度で得ることができますが、セラミックスの表面張力については直接測定することが難しいので、右の式から算出された界面張力の精度は決して高いものではありません。

新しい測定法

従来の測定法  金属をセラミックス上で溶融させたとき、セラミックスが金属中に溶解する性質のものだったとします。すると金属とセラミックス界面の断面は右下の図のようになります。
 溶融金属/セラミックス/気体の3相境界では3つの張力の関係は
計算式
で表されます。あらかじめ高精度の溶融金属の表面張力がわかっていれば、3つの角度を求めるだけで、この式から界面張力と同時にセラミックスの表面張力も算出することができます。
  炭素が鉄やニッケルに溶解することを利用して、これまでに溶鉄/黒鉛、溶融ニッケル/黒鉛の界面張力と黒鉛の表面張力を測定することに成功しました。